用語集 /
マイノリティ・ストレス
学術minority stress · マイノリティストレス · 少数者ストレス
性的マイノリティなどの集団に見られる健康格差を説明するモデル。偏見・差別・隠すことに長くさらされる慢性ストレスが原因であり、アイデンティティそのものが病気を生むのではありません。
マイノリティ・ストレス(minority stress)は、性的マイノリティをはじめ周縁化された集団が、なぜ心の健康により多くの困難を抱えがちなのかを説明するためのモデルです。心理学者のイラン・メイヤー(Ilan Meyer)が体系的に提唱しました。核心となる考え方が重要です。健康格差を生むのは「性的マイノリティであること」自体ではなく、偏見・差別・敵意に満ちた環境に置かれ続けることで蓄積する慢性的なストレスなのです。
このストレスは通常、2つの層に分けられます。外部のもの(distal)——実際に起こる差別、排除、暴力、不公平な扱い。そして内部のもの(proximal)——拒絶されるのではないかと常に警戒すること、自分を隠さなければならないこと、外部のスティグマを内面化して自己否定に変えてしまうこと。来る日も来る日も、これらが積み重なって、心身の健康に実際の影響を及ぼします。
語感メモ:臨床心理学と公衆衛生における標準的な枠組みです。その意義は、因果関係を正しく語ることにあります——問題は環境のストレスにあるのであって、「この人自身に病気がある」のではありません(メンタルヘルスを参照)。
よくある誤用:これを「性的マイノリティは生まれつき脆弱で、問題を起こしやすい」と誤読すること。まったく逆です——このモデルが語っているのは、ストレス源を取り除き、支えと受容を増やせば、健康格差は縮まるということです。もしあなたがいま、こうしたストレスに押しつぶされそうなら、サポート資源と緊急ヘルプがここにあります。